離婚

本当に離婚しますか?(離婚を決意する前に考えておくこと)

言うまでもなく、離婚は夫婦のみならず子供や肉親を巻き込み将来の人生に影響を与える大事件です。夫婦間の問題を安易に離婚で解決しようとしていませんか? 下記を参考にして、もう一度自分に問い直してください。

よくある質問 - 離婚

夫婦危険度テスト

(家裁の調査官が作成したものです)

    0点 1点 2点
話し合い できる 人を介してできる 全くできない
生活費 渡す 一部渡す 全く渡さない
性生活 ある たまにある 全くない
別居期間 ない 三ヶ月未満 三ヶ月以上
子の数 3人以上 1~2人 いない

当然これですべてが決まるわけではありませんが、A~Eの合計が

0~4離婚が本当にベストの決断かもう一度話し合ってみてはどうでしょうか?
8以上離婚が現実的かもしれません。


夫婦危険度テスト 詳細
離婚の決断の前に別居するという選択肢はないか?

不仲の夫婦が同居していることで、感情的対立が増すこともあります。
カッとなった心を冷やす意味での「冷却期間」
将来を踏まえて軽率な行動をとらない為の「熟慮期間」
としての別居であれば意味があるかもしれません。
当然別居しても婚姻費用としての毎月の生活費の支払は必要です。



離婚の決断の前に別居するという選択肢はないか? 詳細
あなたは誰に相談しますか?

一般的には、親兄弟に相談すると親身にはなってくれるでしょうが、気持ちが相談者と同化してしまい、冷静で客観的な判断がしづらく不和を助長することが多いといわれています。できるだけ第三者の意見も聞き入れましょう。
また正確な法的知識を得るためにも、家裁の相談窓口や法律の専門家に相談するのもひとつの方法です。



あなたは誰に相談しますか? 詳細
離婚後発生する問題を理解していますか?

1、住居

実家に戻れば家賃は必要ありませんが、実際は半数以上が実家以外で生活しています。

2、生活費

養育費

実際に養育費をもらっているケースは約1/3です。
離婚を決意したら確実に養育費の支払いを履行してもらうよう離婚時に強制執行承諾付公正証書作成等の手をうっておきましょう。

収入

妻が親権者となって離婚した場合で離婚後の収入の平均は年収200万円弱です。
また、離婚前から働いていた場合の方が明らかに平均年収は高くなっています。
国や自治体からの援助もありますが、給付要件もありもらえたとしても金額的にも十分とはいえません。
このことより、離婚前に離婚後も視野に入れ、定職に就くなど自己のスキルを高める努力も必要です。

3、子供

離婚で最も被害を受けるのは子供です。環境の変化が子供の人格形成に影響を与えることも少なくありません。



離婚後発生する問題を理解していますか? 詳細
協議離婚

両者が合意すれば理由は必要ありません。全体の9割を占めます。
(当然離婚届には離婚理由記入の欄はありません。)
簡便な手続きですむ為、離婚後発生する各種の問題を深く考えないまま勢いで離婚してしまい後になって後悔することもあります。
次章の離婚に関わる問題を十分理解して、手続きを進めましょう。



協議離婚 詳細
調停離婚

離婚そのもの、親権・監護権、慰謝料、養育費、財産分与で合意しない場合に家裁での判決離婚に先立って行なわれます。全体の9%が調停により離婚しています。
一方の申立に対し、相手方に期日の指定及び呼出状が送られ、正当な事由がなく出頭しないと過料(五万円)の制裁があります。
調停は裁判官(家事審判官)と調停委員2人と当事者がテーブルを挟んで話し合います。
双方が顔をあわせると感情的になる、又は言いたいことがいえないことがあるので、交代で個別に事情聴取することが多いようですが、最近ではお互いの主張をはっきりさせる為あえて、両者を同席させることもケース増えています。
合意した調停調書は、その内容の不履行に対し強制執行権を持つなど、公正証書同様法的拘束力を持ちます。
また、弁護士に解決を委任し、調停の場にも立ち会うこともできます。
ただし、弁護士への離婚調停の委任時に必要となる着手金及び報酬金は、現在は報酬が自由化されているため一律ではないが、慰謝料や財産分与を含まない調停で、各20万~30万合計40万~60万(2004年日弁連アンケートより)が必要になるため、特別な場合以外は委任するケースは少ないようです。



調停離婚 詳細
判決離婚

協議離婚・調停離婚・審判離婚でも解決に至らない場合、最後の手段として裁判ということになります。
離婚全体の1%程度が裁判による解決になります。
裁判では相手側にも弁護士が立つ可能性が高く、通常こちらも弁護士に依頼することになり、費用と時間及び強い意志が必要となります。
弁護士への離婚調停の委任時に必要となる費用は、調停委任同様決められてはいませんが、親権・慰謝料200万・養育費3万の主張(1番多いケース)で、着手金平均20万円・報酬金平均40万円の合計平均60万(2004年日弁連アンケートより)が必要になります。どうしても費用が負担できない場合は、民事法律扶助法の規定に基づき費用を立替え(事情により免除)てくれる制度もあります。

A 離婚原因について

裁判で対立する主張のうち「離婚そのもの」については、原告が下記の離婚原因を証明しなければ、裁判所が離婚を認める判決をすることはありません。

① 不貞行為

性交渉を含んだ継続的な交際の証明が必要になります。

② 悪意の遺棄

  • 生活費を渡さないなど、扶助義務に違反する場合
  • 正当な理由のない同居義務違反

(不仲の為の別居については5年で離婚を認めてもいいという案を国で検討中です。)

③ 三年以上の生死不明

たとえば、居場所は不明だが、知人に電話があったとか見かけた人がいるなどの情報があれば生死不明にあたりません。

④ 回復の見込みのない強度の精神病

不治の病であることの証明が必要な為、この理由では現実にはほとんど認められません。

⑤ その他、婚姻を継続しがたい重大な事由

  • 暴力・侮辱
  • 性的不満
  • 親族との不和
  • 信仰上の対立

など、上記の①~④に該当しないさまざまな個別の案件ごとに、その程度や有責度及び婚姻継続の可能性を勘案して裁判所が判断します。 判例としては「思いやりがない」として離婚を認めた特別なケースもあります。

B 有責配偶者からの請求

最高裁は、信義誠実の立場から一貫して有責配偶者からの離婚請求は認めないという立場をとってきましたが、昭和62年の判決において、

  1. 別居が長期間(20年~30年)
  2. 夫婦間に未成熟な子がいない
  3. 相手方が精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれない の3つを前提として、初めて婚姻関係の破綻の現状を直視し、離婚請求を容認しました。

その後現在までの判例では、上記の別居の期間は若干短くなりつつあります。

C 判決離婚の特徴

  1. 弁護士に委任すれば、弁護士が本人を代理してくれるので、必要なとき以外は出頭しなくてもいい。
  2. 判決に対しどちらか一方でも納得しなければ、上訴の制度があるので、判決確定まで何年もかかり多大な時間と費用がかかることがある。
  3. 判決により確定した事柄は、当事者の意に反していても拘束される。
  4. 誰でも自由に傍聴できる公開の法廷で審理されるため、プライバシーをさらけ出す覚悟が必要。
  5. 調停と異なり、原告の訴えを無視すると、その主張を認めたものとみなされる。


判決離婚 詳細
氏の問題

婚姻により氏を変えたものは離婚により、婚姻前の戸籍に戻るか、新戸籍を作ることになりますから当然に旧姓に戻ることになります。婚姻時の氏を今後も名のりたい場合は、家裁に届けを出すことで可能となります。 子については離婚によりなんら戸籍の変更はありませんので、旧姓に戻った母の戸籍に入る場合は、母が新戸籍を作るとともに、家裁に親権者から子の氏の変更の申立てをする必要があります。



氏の問題 詳細
子供の問題

A 親権者の決定

一般的に親権といわれているものは、下記の2つの権利・義務の総称です。
よって、親権者とは別に監護者を決めると、実際親権者と呼ばれているものの権利・義務は、財産管理権のみになります。

1、身上監護権

(子供の身の回りの世話や教育、しつけを行う権利)
例 子の住居の決定権
子に対する懲戒権
子の職業の許可(労働契約は含まない)

2、財産管理権

(子供名義の財産を管理や子供が契約する必要がある場合に子供に代わって法律行為を行う権利)

例:

  • 子の財産の保守・売買・賃貸・処分権
  • 子の訴訟代理権
  • 子の相続放棄の代理権
  • 子の氏の変更

親権での主張が対立した場合

親権者適格の基準は「子供の利益」です。

① 親権予定者である父母側の状態
  • 心身の健康状態
  • 経済力
  • 今までの生活態度
  • 生活予定地の環境
  • 監護補助者の存在の有無
  • 現在までの子供への親密度

ただし、経済力については、監護権を譲り渡す側に養育費負担の法的義務があるので、必ずしも重要な要素とはなりません。

② 子供の年齢
10歳未満の子

特別な場合を除き、母の下での養育が自然であると一般的には考えられています。

10~14歳

子供の発育状況に応じ、子供の意見を尊重するかどうか検討します。

15歳以上

法律で審判前に必ず子供の意見を聞くことが定められている。

親権適格者は①②を総合的に考え決定されます。

B 親権の変更

親権は「子の利益のために必要がある」と認められた時に家庭裁判所の調停または審判を経て決定されます。ただし、監護権のみの変更は戸籍の記載がないため父母の協議のみでの変更が可能です。

C 合意がなく幼児を引き取ってしまった場合

共同親権に服する幼児を夫婦の一方が引き取った場合、その子の引渡しを求めるためには、「引き取った者が幼児を監護することが子の幸福に反することが明白であること」の証明が必要とされます。

幼児の権利者(監護者)が非権利者(非監護者)に引渡しを請求する場合
人身保護法により引渡し請求が認められる可能性が高い。

D 面接交渉権

監護権を持たない親が、子供と面会・電話・手紙などの方法で接触を持つ権利です。 よく誤解されるのですが、この接触を持つ権利を法律的に「交渉権」と呼んでいますので、監護権を持つ親に対し、監護権を持たない親が「子との面会を交渉(お願い)することができる権利」ではありません。

面接交渉権付与の基準

① 子供の利益・福祉

よって、面接により子供に悪影響があると判断される場合は当然制限されます。

② 親の権利

ただし、支払い能力がありながら養育費を負担しないなど、義務の履行がない場合は面接交渉権が制限されることがあります。



子供の問題 詳細
お金の問題

離婚に関係するお金(財産)の問題は以下の4種類があります。
これら4種類はそれぞれ独立した原因の基に支払わ(受取)れるものであり、それぞれの原因に他が影響されない。たとえば妻の不倫を原因とした離婚であっても妻は養育費および財産分与の取得金額に影響は与えません。

養育費

金額の算定方法

以前は実費方式・生活保護基準方式・労研方式などによる算定方法が中心でしたが、選択された算定方法により金額がまちまちであるなどの問題があり、現在は簡易迅速な方法として、お互いの年収と子の数及び年齢を踏まえ実態を統計化した「東京・大阪養育費等研究会が提案した算定方式と算定表」でその基準額を判断するケースが増えています。
当然、これらの金額はあくまで参考であり、子に対する親の思いは一律ではありませんので、進学や学外教育に対する考え方が一致すれば、それらを毎月の金額や進学一時金などの養育費に盛り込むことになります。 調停調書を作成しての金額の合意でなければ、その内容に法的拘束力を持たせる為、できる限り、強制執行承諾付の公正証書にしておく必要があります。

支払方法

受け取る側からすれば、不履行のリスクを回避する為、養育費の払い終わるまでの総金額からライプニッツ方式等で中間利息を控除した残額を一括でもらいたいところですが、実際は慰謝料や財産分与と違い、支払能力の問題もあり毎月の支払が圧倒的に多いようです。

算定期間

支払の終了は、18歳の誕生月若しくは高校卒業月までが一番多く、次いで20歳の誕生月、最終学歴(大学・短大・専門学校など)の卒業月と続きます。

慰謝料

慰謝料とは?

加害者が被害者に対して不法行為により与えた精神的苦痛を和らげるために支払われるものですから、離婚原因が性格の不一致など不法行為が存在しない場合や妻が不倫して夫が暴力をふるった事例など双方に不法行為がある場合などは支払われないこともあります。
一例ですが、不倫の場合の一般的な相場は300万円前後になります。
また、不倫の慰謝料は婚姻中であることを知っていた場合に限り、不倫の相手方にも請求できる可能性があります。

支払い方法

一括支払が圧倒的に多いようですが、分割の場合や、一括であっても即金での支払い若しくは調停調書を作成しての金額の合意でない場合は、その合意内容に法的拘束力を持たせる為、できる限り、強制執行承諾付の公正証書にしておく必要があります。

時効

慰謝料の請求は離婚成立後でも可能ですが、不法行為発生から3年で時効(民法724)になりますので気を付けてください。

財産分与

財産分与には

① 夫婦で婚姻期間中に築き上げてきた財産を均等に分ける

最近では、プラス財産だけでなくローンでの住宅購入などは仮に中古不動産として売却し、清算しても地価の下落により借金が残るケースもあります。
この場合であっても家裁の判例では、財産分与の対象額を別居時点までに支払った弁済金総額としてその額の半額を分与財産と認定しています。

② 離婚によって生活の不安をきたす側の配偶者を扶養する

という2面があります。
当然、婚姻期間が長くなれば金額も多くなります。

支払い方法

慰謝料の支払と同様です。

時効

財産分与も慰謝料同様離婚後の請求は可能ですが、慰謝料より更に短く離婚成立から2年 (民法768)で時効になりますので、十分気を付けてください。

婚姻費用

離婚の際に別居開始から離婚成立時まで十分な生活費を支払っていない場合は、上記以外に過去に一方が負担した婚姻費用の清算を要求されることがあります。
婚姻費用は養育費同様、現在は簡易迅速な方法として、お互いの年収と子の数及び年齢を踏まえ実態を統計化した「東京・大阪養育費等研究会が提案した算定方式と算定表」でその基準額を判断するケースが増えています。



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