離婚に関係するお金(財産)の問題は以下の4種類があります。
これら4種類はそれぞれ独立した原因の基に支払わ(受取)れるものであり、それぞれの原因に他が影響されない。たとえば妻の不倫を原因とした離婚であっても妻は養育費および財産分与の取得金額に影響は与えません。
養育費
金額の算定方法
以前は実費方式・生活保護基準方式・労研方式などによる算定方法が中心でしたが、選択された算定方法により金額がまちまちであるなどの問題があり、現在は簡易迅速な方法として、お互いの年収と子の数及び年齢を踏まえ実態を統計化した「東京・大阪養育費等研究会が提案した算定方式と算定表」でその基準額を判断するケースが増えています。
当然、これらの金額はあくまで参考であり、子に対する親の思いは一律ではありませんので、進学や学外教育に対する考え方が一致すれば、それらを毎月の金額や進学一時金などの養育費に盛り込むことになります。
調停調書を作成しての金額の合意でなければ、その内容に法的拘束力を持たせる為、できる限り、強制執行承諾付の公正証書にしておく必要があります。
支払方法
受け取る側からすれば、不履行のリスクを回避する為、養育費の払い終わるまでの総金額からライプニッツ方式等で中間利息を控除した残額を一括でもらいたいところですが、実際は慰謝料や財産分与と違い、支払能力の問題もあり毎月の支払が圧倒的に多いようです。
算定期間
支払の終了は、18歳の誕生月若しくは高校卒業月までが一番多く、次いで20歳の誕生月、最終学歴(大学・短大・専門学校など)の卒業月と続きます。
慰謝料
慰謝料とは?
加害者が被害者に対して不法行為により与えた精神的苦痛を和らげるために支払われるものですから、離婚原因が性格の不一致など不法行為が存在しない場合や妻が不倫して夫が暴力をふるった事例など双方に不法行為がある場合などは支払われないこともあります。
一例ですが、不倫の場合の一般的な相場は300万円前後になります。
また、不倫の慰謝料は婚姻中であることを知っていた場合に限り、不倫の相手方にも請求できる可能性があります。
支払い方法
一括支払が圧倒的に多いようですが、分割の場合や、一括であっても即金での支払い若しくは調停調書を作成しての金額の合意でない場合は、その合意内容に法的拘束力を持たせる為、できる限り、強制執行承諾付の公正証書にしておく必要があります。
時効
慰謝料の請求は離婚成立後でも可能ですが、不法行為発生から3年で時効(民法724)になりますので気を付けてください。
財産分与
財産分与には
① 夫婦で婚姻期間中に築き上げてきた財産を均等に分ける
最近では、プラス財産だけでなくローンでの住宅購入などは仮に中古不動産として売却し、清算しても地価の下落により借金が残るケースもあります。
この場合であっても家裁の判例では、財産分与の対象額を別居時点までに支払った弁済金総額としてその額の半額を分与財産と認定しています。
② 離婚によって生活の不安をきたす側の配偶者を扶養する
という2面があります。
当然、婚姻期間が長くなれば金額も多くなります。
支払い方法
慰謝料の支払と同様です。
時効
財産分与も慰謝料同様離婚後の請求は可能ですが、慰謝料より更に短く離婚成立から2年 (民法768)で時効になりますので、十分気を付けてください。
婚姻費用
離婚の際に別居開始から離婚成立時まで十分な生活費を支払っていない場合は、上記以外に過去に一方が負担した婚姻費用の清算を要求されることがあります。
婚姻費用は養育費同様、現在は簡易迅速な方法として、お互いの年収と子の数及び年齢を踏まえ実態を統計化した「東京・大阪養育費等研究会が提案した算定方式と算定表」でその基準額を判断するケースが増えています。