判決離婚

協議離婚・調停離婚・審判離婚でも解決に至らない場合、最後の手段として裁判ということになります。
離婚全体の1%程度が裁判による解決になります。
裁判では相手側にも弁護士が立つ可能性が高く、通常こちらも弁護士に依頼することになり、費用と時間及び強い意志が必要となります。
弁護士への離婚調停の委任時に必要となる費用は、調停委任同様決められてはいませんが、親権・慰謝料200万・養育費3万の主張(1番多いケース)で、着手金平均20万円・報酬金平均40万円の合計平均60万(2004年日弁連アンケートより)が必要になります。どうしても費用が負担できない場合は、民事法律扶助法の規定に基づき費用を立替え(事情により免除)てくれる制度もあります。

A 離婚原因について

裁判で対立する主張のうち「離婚そのもの」については、原告が下記の離婚原因を証明しなければ、裁判所が離婚を認める判決をすることはありません。

① 不貞行為

性交渉を含んだ継続的な交際の証明が必要になります。

② 悪意の遺棄

  • 生活費を渡さないなど、扶助義務に違反する場合
  • 正当な理由のない同居義務違反

(不仲の為の別居については5年で離婚を認めてもいいという案を国で検討中です。)

③ 三年以上の生死不明

たとえば、居場所は不明だが、知人に電話があったとか見かけた人がいるなどの情報があれば生死不明にあたりません。

④ 回復の見込みのない強度の精神病

不治の病であることの証明が必要な為、この理由では現実にはほとんど認められません。

⑤ その他、婚姻を継続しがたい重大な事由

  • 暴力・侮辱
  • 性的不満
  • 親族との不和
  • 信仰上の対立

など、上記の①~④に該当しないさまざまな個別の案件ごとに、その程度や有責度及び婚姻継続の可能性を勘案して裁判所が判断します。
判例としては「思いやりがない」として離婚を認めた特別なケースもあります。

B 有責配偶者からの請求

最高裁は、信義誠実の立場から一貫して有責配偶者からの離婚請求は認めないという立場をとってきましたが、昭和62年の判決において、

  1. 別居が長期間(20年~30年)
  2. 夫婦間に未成熟な子がいない
  3. 相手方が精神的、社会的、経済的に過酷な状況におかれない の3つを前提として、初めて婚姻関係の破綻の現状を直視し、離婚請求を容認しました。

その後現在までの判例では、上記の別居の期間は若干短くなりつつあります。

C 判決離婚の特徴

  1. 弁護士に委任すれば、弁護士が本人を代理してくれるので、必要なとき以外は出頭しなくてもいい。
  2. 判決に対しどちらか一方でも納得しなければ、上訴の制度があるので、判決確定まで何年もかかり多大な時間と費用がかかることがある。
  3. 判決により確定した事柄は、当事者の意に反していても拘束される。
  4. 誰でも自由に傍聴できる公開の法廷で審理されるため、プライバシーをさらけ出す覚悟が必要。
  5. 調停と異なり、原告の訴えを無視すると、その主張を認めたものとみなされる。