特定貨物自動車運送事業とは、一般貨物が複数の荷主の荷物を運ぶのに対し、特定単数の荷主の荷物を運送する事業を指します。荷主との間に1年以上の継続した運送契約があり、運送指示を直接受けることが必要となります。具体的には、工場間の輸送便などです。
特定貨物自動車運送事業の運送に使用するトラックは、小型貨物車(4ナンバーのトラック)、普通貨物車(1ナンバーのトラック)、冷凍食品、石油類などの運送に使用する特種車(8ナンバーのトラック)などがあります。
特定貨物自動車運送事業の要件
特定貨物自動車運送事業の許可申請については、下記の要件を満たさなければなりません。
項目 | 内容 |
営業所 | ① 規模が適切なものであること。 ② 建築基準法、都市計画法、農地法の各種関係法令に抵触しないこと。 ③ 1年以上の使用権原を有することの裏付けがあること。 ※登記簿謄本や賃貸借契約書、使用承諾書で証明します。 |
車両台数 | 営業所ごとに配置する事業用自動車の数は種別ごとに5両以上とすること。 |
事業用自動車 | ① 計画車両の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。 ② 使用権原を有するものであること。 |
車庫 | ① 原則として営業所に併設するものであること。併設できない場合、営業所と車庫の距離(直線距離)が5又は10キロメートル以内であること。※都道府県、市町村により異なります。 ② 他の用途部分と明確に区画されていること。 ③ 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画車両のすべてを収容できるものであること。 ④ 建築基準法、都市計画法、農地法、消防法等の各種関係法令に抵触しないこと。 ⑤ 前面道路が幅員証明書により、車両制限令に適合すること。 両側通行・・・車幅2.5m×2+1.5m以上 一方通行・・・車幅2.5m×1+1.0m以上 ⑥ 1年以上の使用権原を有することの裏付けがあること。 |
休憩仮眠施設 | ① 原則として営業所または車庫に併設されているものであること。 ② 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であること。 ③ 乗務員に睡眠を与える必要がある場合には、少なくとも同時睡眠者一人当たり2.5㎡以上の広さを有するものであること。 ④ 1年以上の使用権原を有することの裏付けがあること。 ⑤ 建築基準法、都市計画法、農地法等の各種関係法令に抵触しないこと。 |
運行管理体制 | ① 車両数及びその他の事業計画に応じた適切な員数の運転者を常に確保しえるものであること。この場合、運転者が貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第2項に違反するものでないこと。 ② 選任を義務付けられる員数の常勤の運行管理者及び整備管理者を確保する管理計画があること。 ③ 勤務割及び乗務割が適正であること。 ④ 運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。 ⑤ 車庫と営業所が離れている場合の連絡・点呼体制が確立されていること。 ⑥ 事故防止についての教育および指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告の体制について整備されていること。 ⑦ 積載危険物等の輸送を行うものにあっては、消防法等関係法令に定める取扱資格者が確保されていること。 |
資金貴計画 | ① 所要資金の見積もりが適切なものであること。 ② 所要資金の調達に十分な裏づけがあること、自己資金が所要資金の2分の1に相当する金額以上であること等資金計画が適切であること。 (1)車両費・・・取得価格(頭金、割賦未払金、自動車取得税、消費税を含む。) リースの場合は1年分のリース料。 (2) 建築費・・・取得価格(新築の場合は単価×面積) 賃借の場合は、借料・敷金の1ヵ年分 (3) 土地費・・・取得価格(新規購入の場合は未払金所要資金算入) 賃借の場合は、借料の1ヵ年分 (4) 保険料・・・自賠責保険料・・・ 1年分の金額 任意保険料・・・ 1年分の金額 賠償責任保険・・・1年分の金額(危険物運送) (5) 自動車税・・・ 1年分の金額 (6) 自動車重量税・・・ 1年分の金額 (7) 登録免許税・消費税・・・1年分の金額 (8) 運転資金・・・ 人件費、燃料油脂費、修繕費及びタイヤチューブ費について2ヵ月分に相当する額 |
法令順守 | ① 貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令を遵守すること。 ② 申請者又は申請者が法人である場合にあってはその法人の業務を執行する常勤の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権または、支配力を有する者を含む。)が、貨物自動車運送業法又は、道路運送業法の違反により、申請日前3ヶ月間(悪質な違反については、6ヶ月間)又は申請日以降に自動車その他の輸送施設の使用停止 以上の処分または使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現にその法人の業務を執行する常勤の役員として存在した者を含む。)ではないこと。 ③ 新規許可事業者に対しては、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに事業開始後6ヶ月以内に実施される地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導によっても改善が見込まれない場合等には運輸支局(運輸監理部を含む。)による監査等を実施するものとする。 |
損害賠償能力 | ①自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車損害保険(任意保険)の締結等十分な損害賠償能力を有するものであること。加入すべき任意保険等は、原則として被害者一名につき保険金額は、 5,000万円以上とする。 ② 石油類、化成品類または、高圧ガス類等の危険物の輸送に使用する事業用自動車については、1に適合するほか、当該輸送に対応する適切な保険へ加入する計画など、十分な損害賠償能力を有するものであること。 |
その他 | 許可後1年以内に事業を開始する旨の条件を付することとする。 |
申請に必要な書類
・事業用自動車の運行管理体制書
・必要な資金の総額及び調達方法
・事業収支見積書
・取り扱い貨物の種類及び数量ならびにその算出の基礎
・事業の用に供する施設の概要および付近の状況
・既存の法人:定款または寄付行為および登記簿謄本、貸借対照表、役員または社員の名簿および
履歴書
・個人:資産目録、戸籍抄本、履歴書
・欠格事由(法5条)に該当しない旨を賞する書類