定款について
定款とは、会社の組織や運営方法など会社の基本的なルールを定めた規約のことで、言わば「会社の憲法」のようなものです。
定款には、会社の商号、事業の目的、資本金など会社の基本となる事項が記載され、定款に記載されていること以外の活動を会社が行うことは出来ません。
会社設立時に作られた定款を「原始定款」と呼び、会社設立の登記をする際に必要となります。
会社設立後に定款の内容を変更する場合は、株主総会で内容の決議を行えば自由に変更出来ます。改めて公証人の認証を受ける必要はありません。
定款に記載する事項
会社法により、定款に記載する必要がある事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分類することが出来ます。
1. 絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。
以下の項目の記載がない場合、定款自体が無効になります。
(1)事業目的
(2)商号
(3)本店の所在地
(4)設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
(5)発起人の氏名または名称および住所
(6)発行可能株式総数(会社成立の時までに記載)
2. 相対的記載事項
定款に記載しなくても、定款自体の効力に影響はありませんが、記載をしないと法的効力が発生しない事項のことです。
(1)公告の方法
会社の公告方法は、官報、日刊紙、電子公告のいずれかを定款で定めることが出来ます。
(2)変態設立事項
変態設立事項とは会社法第28条に定める、「現物出資」「財産引受け」「発起人の報酬・特別利益」「設立費用」の4つの事項です。
3. 任意的記載事項
定款へ記載するかしないかは、会社が任意に選択出来る事項です。任意的記載事項への記載がなくても定款自体の効力は有効ですが、あえて定款に記載することで会社の決め事としての効力を明確に出来る事項のことをいいます。定款外で定めても効力がある点で「相対的記載事項」とは異なります。
定款の作成
(1)定款の用紙と様式には特に規定はありませんが、慣例的にB4の上質紙を2つ折にして作成、もしくは、市販の様式を使うことが多い。ただし近年はA4の用紙を使用する傾向がある。
(2)ワープロでも手書きでも、どちらでも構いません。手書きの場合、鉛筆は改変のおそれがあるので黒のボールペンを使用しましょう。
(3)各条文ごとに「第1条(商号)」のようにカッコ書きで条文のタイトルを付けると見やすくなります。
(4)「公証役場保存用」「会社保存用」「登記簿提出用謄本」の3通を作成します。
(5)定款の最終ページに発起人全員が署名捺印又は記名捺印します。
(6)訂正個所がある場合は、訂正個所を二重線で消し、その上に正しい文字を記入します。定款の最終ページに発起人全員で実印を用いて訂正印を押し「第○条中○字削除○字加入」などと訂正内容を記入します。
(7)定款の作成が完了したら、表紙の「作成年月日」を記入します。「公証人認証年月日」「会社成立日」は空欄とし、後日記入します。
電子定款
2004年3月より、フロッピーなどの電子媒体での定款認証も受けられるようになりました。これを「電子定款」と言います。電子定款を利用すると、定款認証印紙代4万円が不要となり、会社設立時にかかる費用を節約することが出来ます。
具体的には、作成した定款をPDF化し、作成者がJCSIの電子証明書で電子署名をし、それをフロッピーに保存して公証人役場に持参する形になります。
電子定款は個人でも作成可能ですが、電子証明書の発行や特別なソフトの購入などで約10万円の費用がかかるため、個人で手続きをするには現実的な方法とは言えません。行政書士などの専門家に相談した方が良いでしょう。
定款の認証
定款は発起人によって作成され、本店所在地のある都道府県内の公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。株式会社の定款は、公証人の認証を受けることによって効力が生じます。
株式会社の場合、原則として発起人全員が役場に行って定款の認証を受けなければいけません。しかし、発起人が複数いる場合は、発起人の中から代表者を選び、代表者一人が役場に行けばいいことになっています。専門家に依頼した場合など、第三者を代理人として認証を受けることも可能です。
公証役場で認証を受ける際に必要な持参物は、以下の通りです。
・発起人全員分の印鑑証明書
・実印
・作成した定款3通
・発起人の代表者が役場に行く場合は委任状
・身分証明書(第三者が代理人として出頭する場合)
認証が終わると、1通は公証人役場に保管され、会社保存用の原本と登記申請用の謄本が交付されます。